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コーチング

コーチングコーチングロケット雑学 -気ままに書きます。学術的な話は殆どないのでご安心ください-


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ロケットって何のこと?
ロケットはどうして飛ぶの?
ロケットはどんな構造なの?
ロケットは何でできているの?
などなど、
気になることを、昔を思い出しながらつらつらと書いてみたいと思います。
でも、居酒屋コーチにも分からないことも多いので、調べながら書いてみますので時間がかかるかもしれません。
気長に待ってください。
よろしくお願いします。


炭とロケット 2014年6月15日

以前、ある冊子に書いた記事を載せます。

2010年6月、7年と60億キロの長旅を終えた小惑星探査機「はやぶさ」の帰還に私たちは感動しました。
このはやぶさを打ち上げたのが、M−V(ミューファイブ)ロケット。
このロケット、実は多くの部分がプラスチック製、つまりCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製です。
繊維がC(炭素)なので、CFRPです。
M−V後継のイプシロンロケット(13年初フライト)は、全段(3段式ロケット)CFRP製で、プラスチックがメイン素材となります。
これは主にコスト面で有利なのですが、工期の短縮や性能向上面でも見逃せません。
近年、CFRPはロケットだけでなく旅客機や自動車(レーシングカーは30年近く前から)・自転車・ゴルフシャフト等にも採用されています。
通常は織ったクロスを樹脂で硬化させ成型しますが、ロケットは少し違います。
フィラメントワインディング製法と呼び、筒状の分解可能な金型(かながた)の表面に、樹脂を含浸させた炭素繊維そのもの(糸)をグルグルと巻きつけていきます。
それを炉に入れ樹脂を加熱硬化させ、金型を取り外すと中空のCFRP製ロケット部品が出来上がります。
後は燃料を詰めて部品を取り付けロケットモーターとして完成です。
炭素繊維はその名の通り、炭素つまり“C(カーボン)”で出来た繊維(ファイバー)です。
これはアクリル繊維などを蒸し焼きにして作ります。
ですから炭素繊維(カーボンファイバー)は炭素が繊維状に繋がっています。
因みに、この繋がり方を変えたものの一つが、宇宙エレベーターを実現させると考えられているカーボンナノチューブです。
勘のよい方はもうお気づきでしょうが、炭素繊維の作り方は炭を作るのとよく似ています。
炭は木材や竹材を窯の中に入れて、窯内の酸素濃度をコントロールして、セルロースを蒸し焼きで炭化させます。
樹種によってセルロースの構造等が異なり、炭に向き不向きがあります。どの程度炭化させるかも焼き方によって異なります(白炭・黒炭)。
炭素繊維も元の糸によって強度や性質が違います。本当によく似ています。
間伐材を昔からのやり方で焼いている炭ですが、実はこの応用が現代の科学や我々の生活を支えているのです。
炭作りに情熱を燃やすことは本当に価値があることを肝に銘じておきたいものです。
−この文章には技術科学的見地で、誤りや誤解がある可能性を承知ください−


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イプシロン 2014年6月7日

先日、H-UAの打上げ能力に満たない(軽い)「大地2号」打上げに使われるのは勿体ないと書きました。
もう少し打上げ能力の小さいロケットを作れば好いじゃないかと思われるのは当然です。
実は、GXロケットと呼ばれる天然ガスを燃料にする新たなロケットの開発を進めていました。
しかしながら、エンジン開発が上手く行かず、事業仕分け作業で中止勧告を受け開発を中止しました。
でも、昨夏打上げ成功したイプシロンロケットと言うのがあるじゃないかと思われた方は中々のロケット通です。
仰り通り重量1トン程度の小さい衛星になると、イプシロンロケットを活用はできます。
ただ、それでは実用衛星と呼ばれる一般社会に即役立つような(気象・通信・放送など)衛星を打上げるには少々能力が足りません。
痛し痒しです。
かつてはM−Vと言うイプシロンロケットの2倍近い能力を持った機体があったのですが、打上げコストが高過ぎました。
M−V開発当時は、現在のJAXA体制でなく実用衛星はNASDA(宇宙開発事業団。科学技術庁管轄)、研究用は宇宙科学研究所 (宇宙研。東大から発展。文科省管轄)という時代でした。
宇宙研ではロケット自体も研究対象ですから、打上げ毎に新たな技術も織り込み、毎号機仕様が大きく異なりましたのでコストが掛かったのです (加えて基本設計がバブル期でした)。
宇宙研においては打上げ失敗でも、論文が書けるので新技術をトライするのもOKなのです。
バブルが弾け研究費も苦しくなり、複雑な宇宙開発体制を見直すために、NASDAと宇宙研ほかを統合した結果、高コストのM−Vを諦め、 ある意味妥協策としてイプシロンが開発されました。
イプシロンはM−Vの後継機にも関わらず能力的には劣ることになりました。
ペンシルロケットから始まり、M(ミュー)と開発が進むにつれ能力が上がっていった東大系のロケット史で大きな転機になりました。
この件については次回に譲ります。


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H-UA24号機 2014年5月26日

前回H-UAの記事を書いたのが20号機でした。
途中兄弟機H-UB2機の打上げを挟んでいるとは言え、2年半経っても24号機です。
成功率は、95.8%までに上がりましたが、40号機まであと16機連続成功しないと、世界的に競争できる信頼率95%を維持できません。
ハードルは決して低くないです。
打上げ数が少ないのは、衛星打上げコストが高いことで海外からの受注が得られないからです。
地道なコスト削減努力を重ねていますが、数が増えないと価格も下がらないジレンマから抜け出せない状況です。
今回の打上げをご覧になって、上昇していくのが速いなと感じられた方が少なくないと思います。
ペイロード(荷物)である人工衛星「大地2号」が2トンだからで、打上げ能力がオーバースペックなのです。
荷が軽ければ勢いよく空に向かいますから。
本来ならば、同程度の衛星をもう1機を載せたいわけです(超小型衛星4個を載せましたが・・・)。
残念ながら、それが無かったということです。
そのためには東南アジアの衛星が必要と考えている国家の要望に応えるべきだと考えます。
それに対し営業力だけでなく外交力が不足しているのです。
近い地域にいる国家との信頼関係を構築する好機なのですが。
軍事力だけが抑止力になるわけではありません。


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衛星なの?ミサイルなの? 2012年4月8日

北朝鮮が打ち上げるロケット、ミサイルなんでしょうか?それとも人工衛星打ち上げなんでしょうか?。
報道されているように、どっちもあり得るようです。
地上から300キロ以上の高さで、地球の接戦方向(要するに地表と平行方向)に、秒速8キロで飛行できれば人工衛星になります。
その高さで、秒速8キロが確保出来なければ地上に落ちてくる訳で、頭部に火薬などが入っていればミサイルなのです。
要するに、3段式ロケットの第3段が8キロを出す仕様かどうかによって変わってくるので、ミサイルでも実用ロケットにでもなるということです。
人工衛星打ち上げで成功すれば、世界で10番目の国になります。
日本は第4位で1970年に成功しています。
ところで、打ち上げに失敗して日本国土に墜ちて来そうになった時に上空で破壊するために地上配備されたのがPAC3。
ペトリオット(防衛省の呼び方)の改良型ですが、射程が20キロしかないので破壊に成功しても破片がバラバラと降って来る恐れがあります。
画像のPAC3、発射機から打ち出した瞬間に、頭部からガスを噴出しています。
この噴出ガスで軌道修正して目標に向かって行きます。
北朝鮮のロケットが打ち上げに失敗し、それを万一PAC3が迎撃に失敗すると、マスコミは打ち上げ瞬間にガスが漏れた欠陥ミサイルと言いかねない画像ですね。
でも、これが正常なんです。

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20号機 2012年1月20日

昨年12月12日、H−UAロケット20号機の打ち上げが成功しました。
H−UAは6号機で打ち上げを失敗していますが、成功率が95%に達しました。
95%達成で信頼性の面では世界に伍せるレベルになった訳です。
これには、前回お話したようにシックス9の信頼性が要求されます。
ロケットが5万個の部品で構成されるとして、0.999999(99.9999%)の5万乗≒0.95(95%)が確立されたことも意味します。
しかし、これから1機でも失敗すると成功率が9割程度に落ちますから油断は禁物です。
ちなみに、どんどん衛星を打ち上げているESA(欧州宇宙機関)のアリアン5が、60機打ち上げ4機失敗(ここ46機は失敗なし)ですので気を緩めることは出来ません。
また、アリアン5は赤道直下(H−UAを上げる種子島は北緯30度)で効率良く打ち上げられコストも安いので、信頼性で劣っては競争に勝てません。
衛星打ち上げビジネスは本当に厳しい世界ですが、家電・自動車が追いつかれ抜かれつつある日本にとっては、日本ブランドを維持するにも非常に重要な分野です。
有人打ち上げロケット開発も含め、民生品で手にした低コストと高品質(信頼性)を生み出す力を発揮して頑張らなければいけません。

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69とは? 2012年1月2日

シックス・ナインと呼びます。
頬を赤らめたあなた、正常です。
ここでは、そちらではなく、ロケットの話です。
信頼性、reliabilityのレベルを指します。
シックス9とは、99.9999%の信頼性を意味します。
つまり、100万個に1個の不良を許容することです。
人間を乗せて月まで往復したアポロ計画で叫ばれたキーワードです。
仮に、ロケットが5万個の部品で構成されているとしたら、1つひとつの部品にシックス9の信頼性を確保しても、ロケット全体としての信頼性は約95%になります。
すなわち、20回打ち上げると1回は失敗すると言うことです。
1つの部品の不良がロケット全体に何らかの影響を及ぼすと考えると、0.999999(99.9999%)の5万乗≒0.95(95%)で表されるからです。
例えば、電源配線のコードを括るタイラップと言う部品の1つに問題があったとします。
ロケットは打ち上げ時にもの凄い振動がありますので、タイラップで固定されなかったコードが振動で暴れて他のコードを接触しコードを傷つけて打ち上げ全体に影響を及ぼすようなことが考えられるので、信頼性は直列的に考える必要があるからです。
100万個に1個の不良と言いましたが、自動車と違ってロケットは1種類の部品を100万個も作ることはありませんので、1つひとつの部品の検査を行い信頼性を保証します。
1つしか作らない部品が殆どなので、非破壊検査という検査方法が求められます。
3次元測定、X線、CT、超音波探傷などを検査方法駆使して保証をするので、とても手間が掛かります。
もちろん、部品を作る人や機械に作り方、あるいは計測器を一流にすることも信頼性をシックス9にするには必要です。
と言うことは、失敗しない(少ない)ロケットを作り上げるには、人や機械作り上げる手順や検査方法など基準を上げることに繋がるのです。
こう言った点からも、人を乗せることの出来るロケットを低コスト(枷を嵌めることはブレークスルーを呼びます)で作ることは日本を高めるに違いありません

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「B」と言って思い出されるのは? 2009年8月19日

スカイラインGT−B(54B)
ビジネスのB
鉛筆のB
血液型のB型
漫才のB&B
B級グルメ
辺りでしょうか。

閑話休題。
9月11日(金)14:04、H−UBロケットの初号機が打ち上げられます。
民間用国産ロケットとして、H−UAに続き開発されました。H−UとH−UAとは並存しませんでしたが、今後は打上げる衛星の大きさ(重さ)のよって、AとBが使い分けられるようです。
Bが付くと言っても、B級グルメのように一段劣っているという意味でなく、後で開発されたという記号です。ちなみに、H−UがH−UAに置き換わったのは、衛星打ち上げビジネスにおいて国際競争力を上げるため、高コスト構造のH−Uを見直し、コストを抑え且つ能力増強を図りH−UAを開発したからです。
今回のH−UBは、更なる競争力アップを主眼として、既存の技術を活かし能力を増強するためです。ですから、新規技術の導入は少なく、増強はもっぱら第1段ロケットに当てられました。

主な増強策は2つです。
1つ目は、液酸液水(液体酸素・液体水素)ロケットのクラスタ化です。
それは、今まで1機だった液酸液水エンジン(LE7A)を2機装備することです。クラスタ爆弾を想像させる言葉ですが、元々「ぶどうの房」の意味で、複数のものを一まとめにして効果を高める際に使い、コンピュータ等でも使われています。これにより、約13%の能力増強が図れました。これは、H−UAの打ち上げ実績15機のうち7機と一番多用された2024型(SRB−A2本+SSB4本)と比較してのものです。
2つ目は、SRB−A(固体ロケットブースター)の4本化です。
H−UAでは通常2本だったSRB−Aを2倍にします。これにより、約19%の増強です(この数字からもお分かりのように、H−UAもBもブースタと呼ばれる補助(とても補助じゃないですが)ロケット無しでは、地上から離れられません)。

これら2つの策で、H−UA2024型に対して32%の打ち上げ能力のアップができました。実は、H−UAには11号機1回のみに使用された最強型SRB−A4本の204型があるので、10%増強と言った方が正解かもしれません。

何れにせよ、最大8トンの静止衛星を打ち上げられる(各国の能力比較はこちらを)能力を持つことになり、大きなミッションの一つである高度400キロのISS(国際宇宙ステーション)への補給機HTV(重さ16トン)の運用が可能になります。
これで、今まで米国とロシアに頼っていたISSへの補給任務を日本も担うことになり、「きぼう」と共にISSでの日本の存在感が高まるようになります。

さて、当日はここで打上げの模様が中継されるようですので、PCを見れる機会がある方は是非ご覧になってください。
見どころは、これまでのH−UAに比較してどれだけ速い速度で飛び上がるかです(ウサイン・ボルト並み?)。今まで「速い!」と言わしめた11号機(204型)のように速い!と思わせてくれるかどうかです。

実に、楽しみです。

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「ミウラ折り」知ってます? 2008年12月26日

特別養護老人ホームのボランティアでは、折り紙をすることがあります。
何か新しい折り方を覚えようと、ネットで折り紙を検索していたら、久方振りに「ミウラ折り」言葉にヒットしました。
実はわたし居酒屋コーチは、20年程度昔にロケットで打ち上げる人工衛星にミウラ折りを活用するという話を聞いたことがあったのです。
人工衛星の電源である太陽電池の展開(広げる)にこのミウラ折りを使うと効率的なのだそうです。
多量の電力を得るために出来るだけ大きな面積の太陽電池を広げたいのですが、ご存知のように人工衛星を宇宙空間まで運ぶロケットには、載せる重さとともに載せる容量にも限りがあります。
そのため、嵩の大きい太陽電池の収納方法には工夫が求められるのです。
ミウラ折りはそれを効率良く解決できるというわけです。

御察しの通りミウラ折りは人の名前に由来していて(スーパーカーのランボルギーニ・ミウラから来ていると思った貴方、ブッブーです)、旧宇宙科学研究所の三浦先生(教授)が考案されました。
原理は簡単で、直方体(四角形の平面)を山折り・谷折りと順に折り長四角になったものを、少し斜めに折り込んでいき蛇腹状に畳んでいくだけです。
この蛇腹の対角線上にある頂点2ケ所を対角線の延長線上に引っ張っていくと、あら不思議簡単に直方体に広がります。
太陽電池パネルの展開に失敗すれば(昔、スカイラブで上手くいかず宇宙遊泳で修理したこともありましたね)人工衛星として使い物になりかねないので、太陽電池の展開は重要なイベントなのですが、信頼性を高めるために頑丈に作れば重くなり、重いものは積めなくなるという二律背反に曝されます。
ですから、簡単な仕組みで折り畳め且つ展開できるやり方が必要とされるのです。
実際には、95年に種子島から打ち上げられたSFUと言う人工衛星に用いられました。

また、このミウラ折りは地図などを折ることに利用されています。
対角線を引っ張るだけでさっと広がるという手軽さが売りです。
折り方は、ここにありますので一度試してみてください。
簡単でパッと広がり楽しいですよ。

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コーチング

作ったは良いけれど 2008年9月12日

世の中の多くの商品は通常作ったところで商品されずに、流通ルートに乗り顧客に販売され消費されます(サービスとか食堂のメニューは、生産地で消費されますが)。
ロケットも同様に消費地で製造されることはありません。

大型ロケットになればなるほど消費地までの搬送が問題になります。
小型のモノなら、例えて言えばクルマやバイクを運ぶようなものです。
ただ、固体ロケットの燃料(推進薬、"propellant"と言います)は、火工品と呼ばれる火薬類取締法で規定された危険物ですから、輸送の許可は無論要ります。

日本は国土が狭い分道路も狭いので、ちょっと大きくなると運ぶのは大変になります。
道路法によって、道路を走る車両の長さ・幅・高さ・重量が定められています。
通常の道路は、12mx2.5mx3.8m、25トンが最大です。
これを超える車両は特別の許可を貰って走行することになります。
春頃、新幹線を深夜に道路で運んでいるTVのCMをやっていましたが、新幹線は25m以上ありますので許可を得ているのです(京都の祇園祭の山車も許可を得ているのでしょうか)。

大型ロケットとなると、加えて火工品ですから更に厄介になります。
そのために、小さく分割式にして許可を得やすくせざるを得ません。
日本で一番大きなロケットH−UAでは、そのためにかなりの工夫をしています。
何せ消費地は絶海の孤島種子島ですから。

まず、ロケットの本体は液体ロケットは事実上ただの莫迦でっかいタンクですけど、やはり太く長いので簡単には輸送できないので、海の近くに工場を新たに作って製造しそのまま船に乗せ種子島に輸送します(種子島では一般道を走りますが)。

次に補助ロケットのSRB−Aですが、現在は海のない県でドンガラ(モーターケース)をカーボンの糸を巻いて作り、特注車で港まで運び同じく海路で種子島に運びます。
つまり、この時点では推進薬が充填されていないのです。
要するに、推進薬を充填する工場を種子島のロケットの発射場に作ってしまったのです。
というのは、H−UからH−UAに性能アップ(とコスト削減)するために苦肉の策として、充填設備を新たに発射場に設置したのです。
SRB−Aは推進薬が66トンになりました。
そうなると現行法では、海上輸送(陸上も)が不可能になるのです。
当初のH−UのSRBは推進薬が40トンで、海上輸送が出来る最大の大きさでした。
ですから、40トンを4分割式にして、10トン毎にして陸送をして港で1機分40トンにまとめて海上輸送をしていました。
それが、限界だったのです。
SRB−AはFW製ですので、分割することも出来ませんので、止む無く種子島で充填することになったわけです。

実は私が社会人になってしばらくして、衛星打ち上げで世界に負けないようにと、H−Tの後継として静止軌道に2トン以上の衛星を打ち上げる能力を持つH−Uの開発が始まりました。
当時、SRBの推進薬40トンを何とか大きく出来ないかを検討しましたが、残念ながら輸送面でそれが限界でした。
結局2トンレベルでは、米国・欧州・ロシア・中国との競争が厳しくなり、結果として新たにH−UAに発展せざるを得なくなり、ロケット打ち上げ競争でいまだに後塵を拝することになりました。
勿論、国民の生命や安全を守るための法ですから、衛星打ち上げロケットの為に法を変えることは簡単には出来ないことだとは思います。
でも、宇宙開発は国の威信にも関わることですので、何か手を打てていれば随分と違った結果になっていたように思います。

それには、国としての宇宙開発のビジョンが余りにもお粗末であったことに起因するのは否めません(今でも怪しいですが)。
日本として、宇宙開発に対してどういったビジョンを持っていれば、宇宙開発を2つの組織で別々に取り組むなどという非効率の是正ももっと早かったでしょう(NASDAとISASがJAXAになった)。
ビジョンが如何に大切なものか改めて感じられる事象でした。

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コーチング

「しかし、日本のロケットは・・・」 2008年5月20日

しばらく空いてしまいました。
若干ネタ切れでもあります(画像が無いのが辛い)。

画像は、種子島宇宙センターの86年当時のH−Tロケット射場(組立棟)です。
日本でのロケットの打ち上げ場所(射場)は、鹿児島県の2ヶ所に限られています。
1つ目は前述の鉄砲伝来の地種子島の最南部にある「種子島宇宙センター(TNSC)」です。
もう一つは、同じく鹿児島県大隈半島東部にある「内之浦宇宙空間観測所(KSC)」です。

TNSCは、宇宙航空研修開発機構(JAXA)の前身の一つである実用ロケットを打ち上げる宇宙開発事業団(NASDA)の射場で、米国の技術を導入しながら、通信・気象・放送衛星等の私たちの生活の役立つ実用衛星を打ち上げてきました。
これら実用衛星は、赤道上空36千キロの静止軌道に打ち上げることが多いので、赤道に出来るだけ近い場所を選んで作られました。
本来ですと、沖縄県の方が好適地なのですが、ロケットを製造して輸送すること等を考慮して当時は種子島が選ばれたようです。
にも関わらず、大隈半島にもう一つあるのは何故?と思われる方も少なくないと思います。
KSCは、JAXAのもう一つの前身である「宇宙科学研究所(ISAS)」の射場で、当時は「鹿児島宇宙空間観測所」と呼ばれていました(それで、KSC)。

実は、日本のロケット開発の歴史はISASが担ってきました。
日本で初めての人工衛星「おおすみ」は、KSCから打ち上げられました。
打ち上げ場所が大隈半島だったことから、「おおすみ」と名付けられたのです。
「おおすみ」を打ち上げたのは、4段式固体燃料ロケット「ラムダ4−S」ロケットですが、それまで多くの辛酸を舐めてきました。
そのことを、作家松本清張が「砂の器」の中で若き評論家に言わしめた言葉が、「しかし、日本のロケットはまだまだだめでしょうな」の一文です。
当時、ISASは東大の付属機関で秋田県の「道川」というところに射場を持っていましたが、「砂の器」ではストーリーの展開で道川周辺を注目を浴びることになるのです(詳しくは本をお読みください)。
その道川から将来のことを考え、やはり赤道に近い大隈半島の内之浦町に移ったのです(島は輸送の問題で内地が選ばれた)。
道川での失敗談は数多くあるようですが(海に向けて打ったロケットが迷走して、人の方へ戻ってきたとか)、移ってからも、なかなか上手くいかなかったようです。
ようやく、1970年に「おおすみ」が成功するまで本当に大変だったと聞かされました(世界でフランスに次いで4番目)。
恐らく固体ロケットでの初の成功だと思います(フランスのロケットが不明)。
「おおすみ」の成功以降は順調に大型化が進み、ISASは直径2.5mのM−Vまで打ち上げることが出来るようになったのです。

ところで、清張がその後ロケットに触れたかどうかは知りません。

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コーチング

ポスト・スペースシャトル 2008年3月28日

昨日、国際宇宙ステーションに日本の実験施設「きぼう」を一部を設置したスペースシャトル「エンデバー」(STS−123)が、無事帰還しました。
宇宙飛行の報道は、出発する時(打ち上げ)は派手で、帰ってくる時は案外地味というものでしたが、コロンビアの事故以来、少なくともシャトルに関しては帰還時の方が返って心配されるようになりました。
確かに、ロケットの死亡事故については打ち上げ時の事故は公表されているのは、86年の「チャレンジャー」くらい(旧ソ連・中国は秘匿?)で、帰還時はソ連ソユーズの事故にコロンビアの事故が加わって返って多くなっているかもしれません。

ところで、スペースシャトルについては計画より運用にコストが掛かり過ぎるので、2010年9月で運用を終了する予定です。
日本のきぼう(JEM)に関しては、あと2回で実験棟本体と暴露部が搬送され完成しますが、それ以降については、シャトル以外の方法で持っていかなければならなくなります。
つまり、シャトル後「ポストシャトル」をどうするかが問題になってきているのです。
JEM本体(重さ16トン)程度は、宇宙ステーションのある低軌道に打ち上げられる能力が求めまれます。
ですが、残念ながら、日本のH−UAにはその能力がありません。
そこで新たに、現行H−UAロケットの増強型としての、H-Uを開発を進めています。
先日、第1段ロケットエンジンの燃焼試験があり成功しました。
現行H-UAの1段の「LE−7A」を2個並べて同時に燃焼する試験です。
というのは、H-UBの1段はLE−7Aを2個並べて打ち上げ能力を向上するロケットだからです。
H−UBで、日本は低軌道には16.5トン、静止衛星軌道(GEO)には8トンの打ち上げ能力を持つことになります。
しかしながら、それでも世界のロケットの打ち上げ能力に伍していけるかというと疑問が残ります。
日本以外の各国は以下の打ち上げ能力のあるロケットを有しているからです。

●米国
 デルタW:13トン/GEO(静止軌道) ・23トン/LEO(低軌道)
 AresX(開発中):130トン/LEO
●欧州
 アリアン5:10.5トン/GEO ・21トン/LEO
●ロシア
 プロトン:20トン/LEO
●中国
 長征:10トン程度/LEO
●その他
 人工衛星打ち上げに成功しているインド

ご覧のように、中国もポスト長征を開発しているらしいので、H−UBの能力は世界レベルでは十分とはとても言えないのが現状なのです。

また、宇宙飛行士などを宇宙ステーションに連れて行くとなると、日本は有人飛行ロケットを持たないので、米国・ロシア・中国?に頼ることになります。
この点もお寒い状態なのです。

現在、福田自民党政権が全くの機能不全に陥ってキリモミ状態になっていますが、同様に日本の宇宙開発も迷走状態と言って過言ではありません。
世界に伍せる大型ロケットもなく、有人飛行を出来るだけの信頼性のあるロケットもないのに、天然ガスロケットなどという中途半端なロケットの開発に無駄金を投入して、さらに別の固体中型ロケットを開発しようという方向性の定まらない開発に汲々としています。
何をしたいのか、どうしたいのかの明確なゴールを持たずに、やれるところから手をつけていこうという宇宙開発を進める時期はとうに過ぎました。
宇宙開発を人類の為に日本としてどうするのかのキチンとしたビジョンミッションを持って、そのためのロケットやその他のものを開発する必要があるのです。
国会のレベルで宇宙開発を議論をするべき時期が来ているのだと、ポストシャトルを考える上で明らかになってきているのです。

どうするんだ、日本!

(とんだ方向に話が行ってしまいましたが、この記事の雑学は各国のロケット能力ですかね)

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コーチング

ロケットもオヤジ以外は… 2008年3月12日

ロケットを作る上で、いろいろと大変なことがあります。
前回も書きましたが、ロケットは現在でも主流は金属で作られています。
それも鉄系の金属が少なくありません。
ですから、今頃の季節はちょっと怖い時です。
先日も急に暖かくなりましたが、こういう時が結構危ないんです。
桜の咲いた頃、昼間暖かくて花見をする夜にぐっと冷え込む晩が少なくありません。
寒いんで身体を温めるために余計呑んで呑み過ぎや喧嘩が横行してしまうことがありますね。
こう言った昼間暖かく夜冷える日が怖いんです。
翌日は職人さんが二日酔いでお釈迦(不良品)が増えて困る?
なぁんて話ではないですよ、フォッフォッフォ(どっかの総理?)。
夜半に冷え込むと、日中空気中に溜め込んだ水分(湿度)が、加工中の製品に付くのです。
結露です。
空気より金属の方が冷えているので、空気中の湿度が露となってくっつくのです。
夏場に冷えたビール缶に露がびっしり付くようなものです。
鉄に水分です。
どうなりますか?
はい、その通りです。
錆びます。
冷え込んだ翌朝、現場に行くと真っ赤(大袈裟か)に錆びた部品が、整然と並んでいることがあるのです。
必ずしも裸で置いてある訳ではなく、カバーが掛けてあったりするのですが、屋外の霜と違って上から降りてくるようなものではないので、カバーの中で結露してしまうことがあるのです。
加工中は油脂が付いていることも多いのですが、大量の結露ではやられてしまいます。
錆びてしまうと、錆を取らないといけませんから(大体は錆を取れば済みます)、余計な手間が掛かり加工日程が狂ってしまいます。
ロケットの製造は、初めて作ることも多いので生産日程は狂うことは少なくありませんが、湿度などの自然環境に左右されるのは何処にも当たることが出来ないので泣くに泣けません。
結露のほか、自然環境で困るのは、地震と大雨と雪が大敵でした(飽くまでも、私が従事していた当時のことですが)。
幾ら最先端技術と言っても、オヤジと違って昔から怖いものはやはり今でも怖いものなのです。

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ロケットの材料・加工 2008年2月27日

最近のロケットには、カーボン複合材で作られているものも少なくないと書きましたが、現在でも主流は金属です。
燃料を除く重量構成では、鉄系とアルミ系の材料が大きな構成比を占めます。
中国で発明された頃は、恐らく竹の筒と木材で作られていたと思いますが、それ以降は金属になったと思います(西洋では日本や中国に比べ木材加工技術はさほど高くないから)。

竹は肉の厚い孟宗竹を選びます(冗談です)。
鉄系というのは、いわゆる鋼鉄と呼ばれる炭素やその他金属との合金で、クロモリ鋼やマレージング鋼、ステンレスなどです。
アルミ系というのは、ジュラルミンと呼ばれる合金が中心になります。
チタンも他の金属との合金が殆どです。
複合材は、G(グラス)FRP・C(カーボン)FRPですが、アルミハニカムやノーメックスハニカム入りのものや、CFRPでは樹脂で焼き固めるのでなくカーボンで焼き固めるCC(カーボン・カーボン)と言ったものがあります。

鉄系やアルミ系の材料を、削ったり曲げたり溶接したりして部品を作り、ボルトやリベットあるいは接着剤で組み立てていきます。
そういう意味では、自動車とか電車はたまた家電商品とさして変わりません。
また、大量に生産することは殆どないので、加工の仕方もさほど変わった方法ではありません(もちろん高価な加工機械の類もありますが)。
とは言いながら、高い加工精度や品質を求められるので、加工には職人や職人技が要求されます。
ですから、私居酒屋コーチがいた頃の製造現場には、気難しいそれこそ職人気質(かたぎ)の方がまだまだいました。
でも、そういう方がいなければ、どんなアイデアも現実に手にすることはできなかったのです。

それでは今回は、前々回の記事でも少し触れた厚さ0.6mm(直径75cm)の部品の作り方を紹介しましょう。
この部品の形はチタン合金製の半球形のボール(料理用の)状です。
直径が75cmで、厚さが0.6mmというペナペナなものです。
大量に製造するのであれば、自動車の外板(表面)を作るようなプレスマシンを大幅改造して製造することも不可能ではないと思われますが、そんなことをしていたら加工マシンの開発費用や実際のマシンを置く場所(滅多に使わないのに)がバカになりませんので現実的ではありません。
そこで、ひたすら削るのです。
そうは言っても、でき上がった寸法が75cmx38cm位、厚さ0.6mmですから、80cmx40cm以上の無垢の塊から切り出すわけにもいきません。
そんなことをしたら、まるで切り粉(削りカス)の山を作っているようなことになります。
また、燃料タンクは強度が必要なので0.6mmにするわけにもいきません。
そこで、日本刀のような粘りと硬さをつけるために、鍛冶屋さんがハンマーで叩いて鍛えるように鍛造という加工を施します。
チタン6−4(ゴルフクラブのヘッドにも使われていますが。勿論ロケットの方が先)の板を真っ赤に加熱し、機械ハンマーで叩いて・叩いて・叩きまくって大まかなお椀状にします(厚さ1〜2cm)。
ちなみに、自動車のアルミホールでも鍛造品は高価ですが肉が少なくて済むので軽量になります(BBSなど)。
鍛造で成型したお椀子を、後はひたすら削るわけですが、1mmを超えて薄く削るのはそう簡単ではありません。
縦旋盤というマシンで内側・外側を何回か入れ替えて丁寧に切削します。
できあがり寸法になると扇風機の風でも歪むほどですから、最後は心金という型に真空で引いて密着させ削ります。
また、外気温によって若干の寸法変化が出ますので、常に補正を繰り返して加工していきます。
この辺になると、作業指示書に加え作業者の職人技にかかってきます。
商売でやっているものですから、幾ら時間をかけてもOKというものではないので、できるだけ早く正確にかつ品質高く安全に作業をしなければならないのです。
それには、経験と勘と度胸が要ります(KKDと言ったりします)。
大量生産にはKKDはある意味禁物ですが、必要な場面というものは世の中常にあるものなのです。
経験は誰にでも積めますが、勘と度胸は技を極めようとする姿勢がなければ手に入れられません。
つまり、「守・破・離」の「離」の領域に等しいものかもしれません。
型通りでは十分でないし、応用でもまだまだで、全く新しい境地から眺められないと手に入らないレベルでしょう。
工業用ロボットを十二分に使いこなすには、職人の動きを如何に真似させるかが肝と言われています。
つまり、どんな優秀なロボットができても見本になる職人がいなければ、「仏作って魂入れず」になってしまうのです。

話が脇に逸れましたが、かように職人技で形になった部品もまだまだ製品ではありません。
きちんと設計図面の寸法でできているか、見えない欠陥はないか、強度は設計通りかなどを検査しなければなりません。
寸法は3次元測定器などを使えばかなり精度の高い測定はできます。
見えない欠陥は、カラーチェックやX線撮影(CT)あるいは超音波などで探傷します。
強度については、大量生産品でしたら実際に幾つかを潰してチェックすればよいのですが、幾つも作らずかつ高価なものですから、破壊せずに検査をします。
これを非破壊検査と言いますが、ロケットを作る上ではこの非破壊検査方法に結構なノウハウとコストがかかるものです。
こうして、検査に合格して初めて部品として完成になるのです。

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姿勢制御 2008年2月23日

2007年10月11日の記事でロケットの歴史は姿勢制御の歴史であるとも書きました。
人工衛星も然りです。
この姿勢制御ができなくなって、米国の偵察衛星を自らの手(3段式のSM3ミサイル)で先日打ち落としました。
このSM3も姿勢を制御しながら、標的の人工衛星を破壊したわけです。
落とされた偵察衛星は、姿勢制御(軌道制御も含む)のために、有毒物質である「ヒドラジン」を満載していたため、仮に燃え尽きずに地上に落下した最悪のケースを鑑みて破壊されたといいます。
かようにロケットや人工衛星の姿勢制御は、現在でも重要な要素になるのです。

ロケットの姿勢制御には幾つかの方法があります。
10月11日の記事でも書きましたが、弓矢のように羽根(翼)でコントロールする方法も一つです。
翼でコントロールは空気中のみで可能ですので、空気の殆どない宇宙空間を飛翔するロケットでは翼だけでは姿勢制御は不可能です。
ちなみに、殆ど空気中で使用するミサイルは可動翼でコントロールします。
まとめると、ロケットの姿勢制御には概ね3つに分けられます。
@翼:固定翼・可動翼
A可動ノズル
B噴射:ホットガス(ヒドラジン・固体燃料)・フロンなど

@の翼に関しては、前述した通り、弓矢のように空力重心を後ろに持ってきて安定させる方法と、翼を動かして飛行機のように積極的に姿勢を変化させる方法があります。
ただし、空気がある間しか作用しません。

Aの可動ノズルについては、2007年12月3日の記事もご覧ください。
可動ノズルは、実際に動く部分も3000℃の燃焼ガスに曝されるので、この部分はゴムと金属のハイブリッド構造になっています。
ゴムも「アブレーション効果」がありますので、きちんと設計すれば燃焼中十分に機能するのです。

Bのように、物質を噴射してその反作用で機体をコントロールする方法は、人工衛星も含めて一番活用される方法です。
先ほど触れた偵察衛星も、このヒドラジンの燃焼ガスを噴射して軌道を低くしたり上げたり、あるいは地球や月・太陽の重力による姿勢の乱れを修正します。
固体燃料というのは、ロケット自体を飛翔させる燃料とおなじような固体燃料を燃やしてできるホットガスを勢い良く噴き出して姿勢を変えるものです。
ホットガスは固体燃料が燃え尽きたらお仕舞いなので、微妙なコントロールには向かないといえます。そのため1段目以外は使用しないようです。
さて、フロンと書いてあるのが、ウルトラQのように渦巻いている本日の画像にある、液体「TVC」に使われる噴出材です(でした)。
ちなみに、TVCは、「Thrust (推力)のVector(向き)のControl(制御)」の略で、液体TVCはM3型ロケットから用いられました。
ノズルから噴出される燃焼ガスそのものの方向を変化させ制御しようというものです。
そういう意味で、可動ノズルもTVCの一つとも言えます。
この液体TVCの興味深いのは、液体をノズルの内側に噴き出す点です。
ヒドラジンにしろホットガスにしろ、通常はロケット機体の外部に噴くのに対し、液体TVCはロケットの半分内部に液体を噴射するのです。
液体を燃焼ガスに噴き付けて燃焼ガスの噴出方向を変えるという仕組みです。
ですから、ノズルに穴を開けて、そこから液体を噴射するのです。
結構乱暴な仕組みですよね。

さて、ここまで読んでこられて勘の良い方ならお気づきになったでしょうが、問題が明らかになりました。
噴射する液体に、フロンを使っていたことです。
フロンがオゾン層の破壊につながることが判明して、宇宙の平和利用を図るロケットがオゾンを破壊する物質を撒いては不味いだろうという意見が出てきたわけです。
実際に搭載されていた「フロン134a」は、比較的オゾン破壊に寄与しないと言われ現在も使われていますが、やはり最先端技術のロケットだからこそ、地球環境を悪化させることは極力避けるべきという趣旨で、フロンの代替品に変えることになりました。
当然といえば当然の措置だったわけです。

ところが、実際にはフロン134aを代替品に単に交換するだけで済む問題ではなかったのです。
フロンは安定した物質なので比較的扱いやすいのですが、代替品は酸化力が強くそれまで使っていた金属材料では耐えられない(錆びて強度が落ちる)ことがわかったのです。
つまり、作り替えなければならないのです。
ただでさえ、十分な製造日程の無い中で、新たに設計しなおした部品を試作し確認試験をして、フライト品(実機)を作るわけですから大変です。
フライト(発射)の日にちは変わりませんから、様々な製造および試験日程を組みなおしました。
何とか、スケジュールに合わせて作り上げましたが、宇宙開発とはいろんなことに配慮しながら策定・実施されるものだとつくづく思い知らされました。

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打ち上げ延期 2008年2月18日

H−UAロケット14号機が打ち上げ延期になっています。
1機何百億円もするロケットですから、何か問題があった場合は打ち上げが延期されるのは当然です。
それ以上に、打ち上げでのトラブルで周囲に危険な思いをさせないことが大切です。
当然のことながら、ロケットが飛んでいく方向の海域には船舶が入らないようにしてから、打ち上げます。
真上に上がっていくロケットも徐々に横になり海の上を斜めに宇宙空間に向かって飛んでいきます。
比較的小型のロケットは最初から仰角を与えて打ち上げることができますが、大型ロケットは重いため斜めに設置することが難しいので、最初は垂直に発射し徐々に角度を落していきます。
そうすると、結局海の遥か上空を飛翔していることになり、進路上に海域は封鎖されるわけです。
また、日本でのロケット打ち上げが夏と冬に限られるのは、打ち上げ海域での漁業補償との絡みなのです。
つまり、春と秋は漁業が優先されるのです(必ずしも正しいとは思えませんが…)。

ところで、今回の延期は、最近話題になった米国の偵察衛星が制御不能になって地上に落ちてくる際に、撒き散らすかもしれないという有毒物質ヒドラジンを使う姿勢制御用の装置トラブルで延期になりました。
詳しくはJAXAのリリースをご覧いただきたいと思いますが、実は私居酒屋コーチもこの装置に少し関わったことがあります。
このヒドラジンを入れるチタン合金製のケース(球形チャンバー)の製造担当をしていました。
出来上がりは球形ですが、作る際は半球状のお椀子をカリカリと削って作ります。
大人が一抱えする程度の直径ですが、厚さが僅か0.6ミリ!しかありません。
ですから、触るとペナペナです。
できあがった半球に扇風機の風が当たるとブワンブワンとたわんでお釈迦になるんじゃないかと怖くなるくらいの厚みでした。
そのお椀子2つを接合して球形のタンクを作るということでした。
というのは、当時は半球のお椀子をお客さまにに納品するまでが私の担当だったので、できあがったタンクは見たことが実はないのです。

さて、H−UAの姿勢制御用装置についてどういった対応をするのかはわかりませんが、宇宙開発というのは万が一を極力ゼロにしながら進めなければならないので本当に大変です。

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モーターケースを作る4 2008年2月5日

さて、CFRP製の薄い軽いモーターケースのスキン(側・皮・外皮)が出来上がりました。
これから3000℃を超えるという燃焼ガスに耐えられる処理をします。

これをライニングと言います。
どうするかというと、CFRPの内側にゴムを貼るのです。
えっ?確かにゴムは断熱効果はあるけど、燃えちゃうんじゃない?
と、お思いになるでしょう。
そうです、ゴムは黒い煙を出してよく燃えます。
この燃えることでモーターケースの外側を守ります。
今回お話している外皮は、CFRPですから高熱で溶けはしませんが、チタンなどの金属ですと3000℃にもなると、ドロっと溶け(溶解し)てしまいます。
外側が溶ければ内圧で爆発してしまいますから、絶対に許されません。
そこで、ゴムが燃えて炭(炭化)になって剥がれる際に熱も外に逃がしてしまう現象を利用するのです。
ゴム層は燃えて薄くはなっていきますが、推進薬が燃え尽きるまでの燃焼時間を耐えられれば、断熱効果を発揮するのです。
正に身を削りながら自らを守るのです。
健気ですねぇ。
これを、「アブレーション効果」と呼びます。
身を削るほどですから非常に厳しい環境下に置かれることは間違いありませんので、トラブルを起こさないように高度の品質管理が求められます。
このアブレーションは、燃焼ガスが噴出するノズルという部品にも応用されています。
ノズルも大体FRP系の素材で作られますが、やはり燃焼ガスが通る際に燃えて熱を吐き出して、自らの機能を果たすのです(液体ロケットは異なる方法を採用しています)。

こうやって、内側にゴム(インシュレーションともいう)をライニングして、モーターケースは出来上がります。
これに、推進薬を充填し、点火器(イグナイター)とノズルをセットすれば、ロケットモーターの完成です。

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モーターケースを作る3 2008年1月30日

フィラメントワインディング製法で、カーボン糸と樹脂をオートクレーブというお釜に入れ加圧・加温すると、CFRP製ロケット・モーターケースの側(皮)が焼き上がりますが、まだマンドレルと呼ばれる型と一緒の状態です。
これでは、当然のことながらモーターケースの中に推進薬を充填することはできません。
そこで、このマンドレルを掻き出す必要が生じます。
とは言うものの、ロケットのモーターケースは、長楕円系の繭のような格好をしていて、片方が閉じていて、もう片方は直径よりも小さい穴しか開いていません。
つまり、その穴からはマンドレルという型は引っ張り出せないということです。
で、どうするかというと、型をばらして取り出すのです。
つまり、マンドレルという型は組み立て式だったのです。
箱根細工の組み木細工を思い出してください。
細長い木材を縦横上手く組み合わせて球形や八方体を組み上げますね。
同じように、心金に出来上がった穴から取り出せる寸法まで細かくした部品を取り付けて組み上げるのです。
外側から組み付けたら、ケース製造後でばらせませんので(CFRPの側があるので)、内側に人が入って組み上げます。
最後の部品は、出来上がるケースの穴の部分に取り付けるように設計します。
焼き上がったら、中に作業者が入りケースにぶつけないよう細心の注意を払いながら型の部品を取り外して外に出します。
何しろケースは、CFRP製で強度があるといっても薄くもろいものなので、型の部品をぶつけたら簡単に穴が開いてしまいますから。
こうやって型を取り出すと、CFRP製の薄い軽いモーターケースのスキン(側・皮)が出来上がります。
さて、ここから3000℃を超えるとという高温に耐えられるための工夫が施されるのですが、長くなってきましたので、次回にしたいと思います。

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モーターケースを作る2 2008年1月21日

前回、「CFRP製のロケット・モーターケースは、マンドレルと呼ばれる型に炭素繊維をぐるぐる巻きいて、釜に入れてこんがりと焼けばモーターケースの皮(がわ)の出来上がりです」と書きました。
実際は、モーターケースは巻いたものをそのままお釜の中に入れて繭玉のように煮るわけにはいきません。
段取りも必要ですし、高価な設備も必要です。
まず、巻き上がったものをバギング(bagging)という作業で袋(バッグ)に包み込みます。
とはいっても、直に袋で包む訳にはいかないので、緩衝材を一度巻いたりしながらフィルム状のバッグで包み込みます。
口でいうのは簡単ですが、実際は大きなものなので結構な大仕事です。
このバギングしたものを「オートクレーブ」というお釜の中にセットします。
オートクレーブは、円筒状をした大型のレンジで、内側にヒーターがセットされていて、さらに、内部にワーク(品物)を入れて加圧できるようになっています。
前回、炭素繊維には樹脂が沁みこませてあると書きましたが、釜に入れるのはこの樹脂を熱して固まらせるためなのです。
FRP同様樹脂で繊維を固めないと成り立ちません。
樹脂の種類によっては時間が経つと自然に硬化するものもありますが(普通のFRP)、精密機械のロケットになるともっとしっかりと固める必要があるのです。
そのために圧力を掛けてしっかりと成型する必要があります。
ということでオートクレーブの中に入れて、バッグとワークの間の空気を全て抜き取って型に密着させる必要があります。
通販番組でよくやっている布団をビニール袋に入れて掃除機で空気を抜いてカチカチの薄っぺらい状態にするのと同じ原理です。
また、ラップをしたご飯を電子レンジで暖め外に出すと、ラップがご飯にくっつくように凹っみます。
あれは、ラップの中の水蒸気が冷えて急速に気圧が低くなり大気圧に押されて凹むのですが、大気圧というのは結構な力なのです。
それでもロケットになると不十分なので、更に外から加圧をしてCFRP製モーターケースを焼くのです。
オートクレーブの中で時間をかけて空気を抜いてやり、更に窒素ガスを釜の内部に入れて加圧し加温し焼いていきます。
型との密着度をより上げてより精度の高いより強度の高いものを目指します。
また、無駄な樹脂を排除してより軽量化も図ります。
最近のF1(レーシングカー)等もモノコック(人間の入る本体)は、オートクレーブで作るところも増えたようですがまだまだ手間とお金の掛かるので全てに使う製法ではありません。
しかしながら、できあがったものは非常に軽量なものに仕上がります。
できるだけ軽量化して、重量で稼いだ分を人工衛星等のペイロードに回せるのでそれだけの価値があるのです。

さて、焼き上がったCFRPだけだとモーターケースにはなりません。
というのは、このドンガラだけでは推進薬が燃える熱には耐えられないのです。
考えてみてください、炭素というのは「炭」と同じものですから良く燃えますし、樹脂も燃えます。
ということで、またまた工夫が要ります。
それについては次回に回しましょう。

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ポーラー巻き

フープ巻き

モーターケースを作る 2008年1月18日

固体ロケットの燃料が詰まっている場所を「燃焼室」であることは、10月30日の記事に書きましたが、現代のモーターケースは当たり前ですがもはや竹製ではありません。
一般的には金属性が多いのですが、最近は航空機同様に複合材料で作られることも多くなりました。
本日は、その複合材料の中の炭素(カーボン)繊維のモーターケースの作り方をご紹介しましょう。
ところで、カーボンを主体とする複合材をCFRPと呼びます。
FRPは、Fiber強化プラスチックのことですが、通常Fiberはガラス繊維なのですが、CFRPの場合はガラスがカーボン繊維に置き換わります。
カーボンの代わりにケブラー(黄土色の繊維)にすればKFRPということになります(余り言いませんが)。
ガラス繊維を使ったFRPを、敢えてGFRPと言うこともあります。
それじゃ、カーボンとケブラーのハイブリッドは、CKFRPと呼ぶのかと疑問になりますが、一般的にはケブラー入りCFRP辺りが妥当な呼び方のようです。

さて、CFRP製モーターケースは、レーシングカーや航空機ボディや翼と異なる製法で作ります。
一部のゴルフシャフトや釣竿に使われるかもしれない製法です。
ロケットのモーターケースの場合、球状か繭(楕円・長円)型なので、布状のカーボン繊維を貼り付けて作るのは難しく、強度的にも繊維を切ってしまうので落ちることで不利になります。
そこで、「フィラメントワインディング」という製法で製造します。
「フィラメント」と呼ぶ一本の「長繊維」(fiberは短繊維?)を束ね(撚りません)た材料を、マンドレルと呼ぶ型に巻きつけていく工法です。
ところで、一般的にFRPで製造する場合は型を用います。
型には、大きく「オス型」と「メス型」があり、前者は型の上側に貼り付ける製法で、後者は型の内側に貼り付ける製法で用います。
オス型で作ると型と密着していた内側がスムーズ(ツルツル)に仕上がります(表面は綺麗ではありません)。
メス型はその逆で、表に出る側が綺麗に出来上がります(モーターボートなど)。
閑話休題。
フィラメントワインディングのマンドレルは、オス型になります。
そのオス型に、樹脂(繊維と繊維と繋げる糊みたいなもの)を含侵させたカーボンフィラメントをグルグルと巻いていくわけです。
その際、裁縫用の糸巻きのように巻いてしまうと、丸い場合や丸くなった部分に上手く巻くことができません。
ですから、画像にあるようにフィラメントを様々な方向から繰り出しながら型に巻きつけます。
凧揚げの糸を一本の棒に巻いたことがある方はピンとくると思いますが、凧に引っ張られた糸は、裁縫用の糸巻き(これをフープ巻きと呼びます)のようには巻けないのです。
画像のポーラー(地球の極地)巻きのように巻き取るのです。
こうやって、マンドレルと呼ばれる型に炭素繊維をグルリンぐるりんと巻きつけて、釜に入れてこんがりと焼けばモーターケースの皮(がわ)の出来上がりです。
なのですが、ここからがまた結構な大仕事なので次回に譲りたいと思います。

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ロケット燃料(その2) 2007年12月31日

アメリカンフットボールNFLの「ペイトリオッツ」が16戦全勝で、アメリカンカンファランス東地区の優勝を果たし、スーパーカップ制覇へあと3勝というニューズが流れていました。
このペイトリオッツとは、92年にハリソン・フォード主演で「パトリオットゲーム」という映画の、「パトリオット」の複数形です。
パトリオットとは、「愛国者」の意味です。
この名をとったミサイルが、1991年の湾岸戦争でイラクから飛んできた「スカッドミサイル」を打ち落としたことで有名になりました。
また、先日のSM3(艦船発射ミサイル)が命中しなかった場合に、地上から狙うPAC3はこのパトリオットの新バージョンです。
以上記してきたように日本語表記が異なります。
実際は、NFLのペイトリオッツが英語の発音に近く、パトリオットは殆どローマ字読みです。
ということで、現在防衛省では中間をとって「ペトリオット」と呼んでいます。

このペトリオット(自衛隊に合わせましょう)に代表されるミサイルは、最近は固体ロケット方式を採用しています。
というのは、前回お話したように固体ロケットの方が液体ロケットより即応性が高いからです。
即応性が高いということは機動性が高いことにつながり、いざという有事の際の対応力が求められる軍事上で有利に立てることを意味します(ちなみにスカッドは液体ロケット)。

この固体ロケットの燃料には、大きく分けると2種類あります。
お尻(ノズルという)から吐き出した炎の煙の有無で判別すると分かり易いです。
飛行機雲を思い出していただけるとわかり易いと思いますが、高いところを飛んでいる飛行機本体が見えなくとも飛行機雲があると飛行機の存在が知れてしまいます。
同様に、ミサイルも煙をモクモクと見えるように吐いていると具合が悪いことが少なくありません。
そういったことに関係のない、スペースシャトルのSRBと呼ばれる2本のブースタや、H−UAのSRB−Aなどは煙をドバドバ吐き出して飛んでいきます。
荒っぽくいうと、煙が出る方が高性能であるということです。
そして、固体ロケットでは燃料を「推進薬」と称しますが、この推進薬の材料は、
@煙が出るタイプは、合成ゴムを酸化剤といっしょに煉ったもので、コンポジット系推進薬と呼ばれます。
見た感じは、砂消しゴムをイメージしてもらえば結構です。
A煙が出ない(少ない)タイプは、黒色火薬に近いダブルベース系と呼ばれる推進薬です。
見かけは、黒光りした樹脂みたいだっとと思います(すみませんよく覚えてません)。
ただ、実際にはロケット性能を重視するミサイルは、コンポジット系の推進薬を用いるケースも少なくありません。

このように固体燃料ロケットは、大きな固形物なので液体燃料のように発射する時に推進薬を詰めるということができません。
つまり、ロケットモーターを製造する段階で推進薬を詰める必要があります。
逆に、納品される時には燃料(推進薬が)充填されているので、推進薬の賞味期限、違った有効期限内であれば何時でも発射できるということなのです。
ですから、即応性が高いのです。

前回と今回、ロケットの燃料について書いてみましたが、これからロケットをTV等で目にしたときは、煙の有無で液体ロケットか固体ロケットかを確認してみていただけると幸いです。
液体ロケットは、大きなガスバーナーをお尻につけているのですから、炎は見えても煙は出ないのはお分かりですよね。

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ロケット燃料 2007年12月17日

暮れも押し迫ってきまして、飛びたいほど忙しい方もいらしゃると思います。

飛行機にせよクルマにせよロケットにせよ、飛ぶ(翔ぶ)には燃料が必要です。
ご存知のように、クルマの燃料はガソリンや軽油(ディーゼル油)です。
飛行機は、ジェット機とプロペラ機はガソリンではなく、ケロシンと呼ばれる灯油に近い燃料でエンジンを回します。
かつてのプロペラ機は、自動車の殆どで用いられるピストンで動くエンジンでしたが、現代のプロペラ機のエンジンは基本的にジェットエンジン(ファンがもの凄く大きいジェットエンジン)なので、燃料はガソリンではなくケロシンなのです。

さて、ロケットの燃料については、以前大きく分けて「液体」「固体」があると書きました。
また、「液体」を燃料とするもので、最先端技術のタイプを「液酸(液体酸素)・液水(液体水素)」ロケットというと記しました。
ちなみに、この場合正確には、液体水素が燃料で液体酸素が酸化剤になります。
エンジンは燃料を燃やす(燃焼)という酸化現象を起こさせることで動き(回り)ます。
酸化には、酸素が必要です。
地上や地上に近いところでエンジンを回すクルマや飛行機の場合、その酸化させるための酸素を空気中から採取すればよいのですが、空気の殆どない成層圏や宇宙では、燃料とともにタンクに貯蔵して持っていく必要があるのです(そのタンクの中にあるのを酸化剤というのです)。
つまり、ロケットでは酸化剤も大きな意味で燃料といえるかもしれません。
繰り返しになりますが、液酸・液水ロケットでは、燃料が液体水素で酸化剤が液体酸素になります。

となると、最先端でない液体ロケットの形式は何だろうと気になりますね。
一般的には、2つのタイプが現在も存続しています。
一つは、燃料に「ヒドラジン」系のもので酸化剤に「NTO(4酸化2窒素)」という、ロシアや中国で用いられるタイプ。
もう一つは、燃料に「ケロシン」を用い酸化剤に液体酸素を用いるタイプです。
前者は、燃料・酸化剤とも常温で液体なので扱い易いというメリットがあります。
しかしながら、有毒性のものもあるのでその点では使い難いという面もあります。
後者は、1969年に月に行ったアポロ11号を打ち上げたサターン5型ロケットに用いられました。
酸化剤に極低温の液体酸素が扱い難いという面倒くささがあります(打ち上げ延期になると、酸化剤を抜かなければならないことも)。
ちなみに液体水素は液体酸素よりも低温(気体になる沸点が−252.6℃)なので、更に扱いが大変です(水素自動車の普及を妨げてるのはこの点も大きい)。

ヒドラジン系燃料を用いるのがロシア・中国なのは、ロケットの開発で米国と双璧であった旧ソ連が即応性(いざとなった時に対応が速い)の高いヒドラジン系をICBM(大陸間弾道ミサイル)に用い、その技術応用で人を乗せるロケットまで開発していったという経緯にあると考えられます。
対して、米国はICBMでもより即応性の高い固体ロケット化(ある意味小型化)を進め、有人ロケットは別に開発を進めるという開発路線を選んだため、液体ロケットが主流になったと考えるべきと思います。
単なる技術力の問題というより思想の観点が違うために、現在の主流も異なると考えるべきでしょう。

長くなってきましたので、今即応性の高いと書いた個体燃料のロケットについては、次回にしたいと思います。

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ブースター 2007年12月3日

前回、現代の大型ロケットは、コストを考慮し多段式で、打ち上げ能力を上げるために「ブースター」と呼ばれる補助ロケットを用いるタイプが少なくないと書きました。
補助ロケットと言っても、日本の主力ロケットH-UAはブースター無しでは地上から離れることさえできないので、ブースター込みで1段目ロケットと言うべきでしょう。
ロケットが140トン弱あるのに、液酸/液水ロケットのみでは、100トン強の推力しかないので、持ち上がらないのです(スペースシャトルも、もちろんブースターなしでは持ち上がりません)。
その結果、ブースターも単なる推力を出すだけの役割でなく、姿勢制御の任務も担っています。
前回の記事の画像には尾翼がありましたが、H−UAには尾翼はありません(こちらをご参考に)ので、弓矢のように空力で姿勢を維持できません。
ですから、風や推力のバラつき等で乱れるロケットの姿勢を、ノズル(ロケットの下部先端)から出る推力(炎)の方向を変えることによって、狙った方向に飛ばす制御をします。
つまり、ノズルの方向を自在に変えて推力の方向を変えるのです。
お寺の釣鐘が鐘楼からぶら下がってブラブラと動くように、ロケットのノズルもロケットモーター本体からゴムと金物製のジョイントでぶら下がっています。
そして、撞木(鐘つき棒)が3本あって、必要に応じて押したり引いたりしてノズルの方向を変えるのです(スペースシャトルの打ち上げの映像で、シャトル本体のノズルがブルブルっと震えのがそうです)。
撞木に該当するところをアクチュエーターと言います。
ノズルを動かすには大きな力が要りますので、アクチュエーターは油圧で駆動することが多かったのですが、最近はコストや技術的進歩もあり電動で駆動させるようになりました。
このように可動式のノズルを制御して、ロケット全体の姿勢を整えながら、ロケット本体の指示の元上へ上へ上昇するのを手助けするのがブースターなのです。

例えてみると、ロケットのブースターは、クライアント(お客さま)の背中を押し実行を加速させる「コーチ(パーソナルコーチ・ビジネスコーチ)」のような役割ですね。
自らは本体(クライアント)の背中は押しますが、行きたい方向は本体の意思に従うからです。

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多段式ロケット

ロケットの構造(3) 2007年11月5日

現代の大型ロケットは、液体燃料エンジンと固体ロケットモーターを上手く組み合わせて、可能な限りコストを考慮し性能アップを図っています。
今回はロケット全体構造を考えてみたいと思います。
なおここでは、「ペイロード(打ち上げ荷物)」を人工衛星とする大型ロケットを考えてみたいと思います。

一般的に、大型ロケット(静止衛星を打ち上げるクラス)は、左図のような構造が多く見られます。
まず、@が1段ロケットで、晴れて重力から解き放たれて地上から離れる役目を負います。
この1段目には液体ロケットを用いることが多く、日本JAXA・米国NASA・欧州ESA・ロシア・中国が採用しています(インドは固体ロケット)。
また、打ち上げ能力を上げるためにCの「ブースター」と呼ばれる補助ロケットを抱くタイプがあります(この場合、@を「コアロケット」と呼びます)。
補助ロケットは、殆ど固体ロケット(インドは液体)を用いて、人工衛星の重量に合わせ大きさや本数を調整する形式も少なくありません(JAXAの「H-UA」もそのタイプ)。
また、ほぼ同じ液体ロケットを何本か束ねた1段ロケットもあります(ロシアのソユーズなど)。
ちなみに、H-UAはブースター無しでは地上から離れることはできません。
Aが2段ロケットになりますが、1段目と2段目は通常Dの「接手(つぎて)」というパーツで結ばれています。
1段目が燃え尽きると、接手ごと切り離し、2段目ロケットに点火します(ブースターも通常、コアロケットより早く燃え尽きるので最初に切り離します)。
そして今回は、Bの部分が人工衛星である2段式ロケットで話しを進めます。
2段ロケットは、地球を回って落ちてこない速度まで加速する役割を担います。
ちなみに、3段目の場合は、Bの部分が3段ロケットとペイロードになります(3段目は、液体ロケットか固体ロケット両者が採用されていますが、最近は液体ロケットが主流のようです)。
人工衛星は精密機械ですので、大気中では「フェアリング」というカバーで風圧から守られていますが、空気の無くなると必要でなくなるので、卵の皮をむかれてようにフェアリングが外れます。
2段目が燃え尽きると1段目同様に接手と共に切り離されて、ペイロードのみが剥き身のまま宇宙空間に放り出されるのです。
宇宙空間に放り出されたといっても、計算された軌道に乗せられていますが、静止衛星にせよ地球の周りを日に何回もクルクルと回る衛星にせよ、最終的な軌道に乗せる最後の調整が必要になります。
そのために、人工衛星にもロケットが積まれています。
このように人工衛星にもロケットを積んでいるので、衛星をペイロードとする2段式ロケットは3つの推進用ロケット(軌道微修正用の小さなロケットもありますが)を持っていることになります(3段式ロケットの場合は同様に4つです)。
人工衛星に付随しているロケット、かつては固体式が主流だったのですが、ロケットの打ち上げ能力が上がった最近は液体式が主流になってきました(そうなのです、固体ロケットはシンプルな構造なため軽量化が図れるのです)。
ブースター・1段・フェアリング・2段と切り離されて、剥き出しになった人工衛星は、自分に付いているロケットを噴いて最終の大仕事をするわけです(このロケットは切り離しません)。

やや余談になりますが、静止衛星(地球の回りを1日1回だけ回る衛星のこと。地球と同じ速さで回ることになるので見かけ上常に同じところに見える)が、静止軌道に入るためのロケットを「アポジモーター」と言います。

以上のように、ペイロードの重量等に合わせ打ち上げ能力を調整して、できるだけ低コストで打ち上げられるように設計されているのが現代のロケットです。
多段式にしているのも、飛翔中できるだけ軽い状態にしておきたいためです。
仮に大きなタンクが半分以下になると空になった部分はただの重量物になりますので、小さめのタンクを増やして空のタンクは捨てるという考え方で、無駄な重量物は速やかに捨てるという発想で多段式にしているわけです。
それでも、過剰能力にならないように幾つかの種類のロケットを用意しているのが各国の現状です。
日本では、H-Uのほかに、「M(ミュー)型」(現在、時期型開発待ち)、「S−520」「SS−520」「S−310」「天然ガスロケット(開発中)」等のロケットを持っています。

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固体ロケット

ロケットの構造(2) 2007年10月30日

前回は、ロケットには「液体ロケット」と「固体ロケット」がある話をしました。
今回は、ロケットのエンジン(燃料を燃焼させる機関)についてお話したいと思います。

歴史的には、固体ロケットの方が早く発明されましたが、液体ロケットの進歩の方が速かったと言いました。
そこで、液体ロケットのエンジンから始めるべきなのかもしれませんが、単純な方から書いてみたいと思います。
固体ロケットのエンジンは「ロケットモーター」と呼ばれることが多いと思います。
この固体ロケットモーターは左図のような断面構造をしています。
」は燃料である推進薬ですが、これが燃焼室と呼ばれる外側の筒(モーターケースとかチャンバーといいます)の中で燃えます。
この燃料を燃やすのに、「(赤い部品)」のイグナイターで点火します。
イグナイターは電気雷管で火薬を燃やすものです。
イグナイターで火を付けられると、推進薬は燃焼室の中で急速に燃え多量のガスが発生します。
発生したガスは逃げ場を探して、唯一開いている「」のノズルから高速で排出されます。
この高速で吐き出されたガスの反作用でロケット本体が押し出され飛翔するわけです(10月2日の記事を参照ください)。
構造は単純ですが、推進薬が均一に燃えるようにしたり、3000℃を超える燃焼ガスで燃焼室が溶けないようにする(この温度では殆どの金属が溶融する)とかのノウハウが必要です。
それが進歩を妨げてきて現在でも、大型の固体ロケットの平和利用の実用化を果たしているのは、米国NASA・欧州ESA・日本JAXA・インド辺りしかありません

次に、液体ロケットエンジンですが、こちらはかなり複雑な構造になります。
といっても、基本的には大きなガスバーナーと思っていただければ結構です。
ただ、酸素を空気からではなく、液体の酸化剤から得るので、燃料用と酸化剤用の二つのタンクがあるのが、一般のガスバーナーと異なります。
一番最先端(高性能)の「液体酸素・液体水素(液酸液水)エンジン」ですと、燃料タンクには液体水素が酸化剤タンクには液体酸素が入っています。
この二つのタンクから水素と酸素の供給を受けバーナーで燃やす仕組みです。
ただ、水素と酸素を普通に混ぜて燃やしたのでは、科学の実験で試験管の中で作った水素に火をつけて燃やしてご存知の通り大した勢いでは燃えません。
美味しい肉は焼けるかもしれませんが、とても宇宙には飛んで行けそうにもありません。
そこで、爆発しない程度に勢い良く連続的に燃やし、固体ロケットモーター同様に高圧のガスを発生させるために、タービンなどを使用したりするので複雑な構造になります。
しかしながら、言ってしまえば大きなガスバーナーですから、燃料を出したり絞ったりで火力(推力といいます)コントロールし易いのです。
つまり、複雑な構造(高価)にしても効果が大きいので費用対効果が大きいのです。
ですから、繰り返しになりますが開発に拍車がかかったわけです。
日本を始め世界の大型ロケットは、液体ロケットエンジンを使用していますが、液酸液水方式は多くなく、「ケロシン」と呼ばれる灯油のような航空燃料を使うタイプや、毒性の高い「ヒドラジン」などを用いるタイプがまだ主流です(前回紹介した「長征3号」は、ヒドラジンを燃料にします)。
液体水素はマイナス259℃以下なので、扱いがとても難しいのです。
金属でさえ極低温では、強度が低下することもあります(低温脆性といいます。また、水素脆性という現象もあります)。
また、タンクの外側に氷が張り付き易く、この氷がはがれてスペースシャトル「コロンビア」の船体に傷をつけ大惨事を起こしたことは記憶に新しいことですが、極低温をコントロールするのはとても大変なことなのです。
イコール高価ということになるので、皆が環境に優しい液酸・液水エンジンを開発に尽力するわけではないのです。

最後に、現代の大型ロケットは液体燃料エンジンと固体ロケットモーターを組み合わせたタイプが少なくありません。
それは、各々の特徴を効果的に用いて性能やコストを抑え、競争力を上げるためです。
この辺の話を次回述べてみたいと思います。

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ロケットの構造 2007年10月25日

昨日(24日)中国が、月探査衛星「嫦娥(じょうが)一号」を打ち上げました。
こちらから打ち上げの画像が見られます(何時まで見られるかわかりませんが)。
この「嫦娥」を打ち上げたロケットは、「長征3号」という3段式液体燃料ロケットです。
一般的に、ロケットは「単段式」ロケットと「多段式」ロケットに分けられます。
また、燃料の違いで「液体」ロケットと「固体型」ロケットに分類できます。
今日は、後の燃料の違いからロケットの構造を考えてみたいと思います。

液体ロケットは、燃焼させる液体と酸化剤(つまり酸素になるもの)が別々のタンクに貯蔵されていて、必要な時に必要なだけ混ぜて燃焼させ飛翔するロケットです。
つまり、飛ぶための燃料が液体のものを液体ロケットといいます。
対する、固体ロケットは燃焼する物質に酸化剤を混ぜ込んで固形化したモノを燃料(推進薬とか推薬と呼ぶ)とするものです。
燃料が固体のものを固体ロケットと呼ぶのです。
すごく簡単なことです。

ということで、今まで書いたように初期のロケットは燃料に火薬を用いたものでしたから、固体ロケットだった訳です。
火薬はご存知のように一度火をつけてしまうと、ほぼ瞬時にして最後まで燃え切ってしまいます。
花火をしたことのある方ならすぐ分かりますよね。
ということは、燃料の燃焼をコントロールするのが難しいということです。
何しろ火がついたら全開で燃えてしまいますから、火を弱くしたり強くしたりできないのです。
つまり、行きたい方向にロケットを制御するのに不都合なわけです。
例えていうと、全速で走っているクルマをコントロールするのが難しいのと同じようなものです。
また、できるだけ遠くに飛ばしたいという要求(兵器でも宇宙に行くにしても)から大型化するのに、固体ロケットでは応えられなくなってきました。
そこで登場したのが、液体ロケットです。
液体燃料のロケットは石油ストーブのように、燃料を絞って弱火にしたり、ガンガン燃料を燃やして熱々にすることができます。
つまり、燃料の燃やす量をコントロールすることで、速度を調整して飛行距離を飛び立ってから調整できるのです。
この液体ロケットとして、前回ちょろっと書いた「V2ロケット」が登場するのです。
ナチスが開発したV2は、第2次世界大戦でロンドンなどに打ち込まれ市民を恐怖の底に突き落としました。
液体ロケットのV2は、大陸から発射され、風や気圧の影響を受け目的地からずれるのを、簡単なコンピュータで修正しながらロンドン等の遠隔地に飛んでいきました。
実際の命中精度はさほど高くなかったようですが、飛行機のように音をたてて段々と接近してくのではなく、逃げる時間を与える間もなく飛んでくるので、市民を恐怖で震えさせ士気を砕くのは簡単でした。
ドイツの敗戦で、V2のノウハウとともに開発メンバーが米国とロシア(当時のソ連)に連れていかれました。
その結果として、米国とロシアが戦後ロケットの開発で先頭を立つようになったわけです。
また、液体ロケットの開発が継続され、大型のロケットは液体式が主流となったのです。

少し脇にずれたので元に戻しましょう。
液体ロケットは、2つの液体を燃やすと言いましたが、どの液体を使用するかは時代とともに変化していて、現在の最先端は、「液体酸素(液酸)」と「液体水素(液水)」を使用するタイプです(液酸液水ロケットと呼びます)。
現在は、米国NASA・欧州ESA・日本JAXAで実用化されています。
水素自動車同様、燃焼後は水(水蒸気)しか出さないので、環境にも優しい素晴らしいロケットです。
また、液体ロケットは燃料を常にタンクに入れておくことができない(液酸液水式は極低温)ので、発射間際までタンクは空の状態で準備に手間がかかります。
一方、固体ロケットの燃料(推進薬)は、古くからの黒色火薬系の「ダブルベース系」と呼ばれるものと、「コンポジット系」と呼ばれる合成ゴムを主剤にする2種類のものがあります。
コンポジット系は高性能なのですが、燃焼した煙が少ないダブルベース系燃料に比べ、大量の白い煙が出て(どこから撃ったか分かってしまい)兵器に向かないという一長一短があります。
ということで、現在も2種が主流になっています。
そして、固体式の一番のメリットは、常に燃料が充填されているということです。
つまり、即応性が高いので兵器にはもってこいなので、第2次世界大戦後急速に技術進歩していきます。

少々、長くなってきましたので今回はここまでにしておきます。
次回は、液体ロケットと固体ロケットのエンジン(燃料を燃焼させる機関)についてお話したいと思います。

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ロケットの歴史(続き) 2007年10月19日

ロケットは、13世紀以前から兵器として中国にあったと書きましたが、それ以降は飛び道具にも関わらず「鳴かず飛ばず」の時代が長く続きました。
ロケットは「兵器として」と書きましたが、元々手元に戻って来ない性格のため平和利用には中々結びつかなかったのと、人類の歴史は戦いの歴史(現代でも然り)ですから、進歩には戦争が付き物だったのです。
ということで、今回の記事は若干キナ臭くなるかもしれません(キナ臭い話がお厭の方は読まないことをお勧めします)。
中国で発明されて以来、その技術は西欧にもシルクロードを介して伝わったようですが、兵器としても20世紀に入るまで大きな進歩はなかったようです。
ちなみに、ロケットの技術は日本にも伝わり、先日事故が起きた秩父吉田の「龍勢祭り」(16世紀に始まったとされる)のようなロケットを打ち上げる儀式に用いられています。
ロケットの進歩が遅々として進まなかったのは、それ以外の兵器の進歩の方が速かったからです。
遠くに重量物や炸薬を運ぶには、大砲の方が安価で効果的なのです。
何といっても安いということが兵器に関しても大きなメリットであることは、民生品同様に重要なことですから。
射程距離(どこまで遠くに飛ばせるか)も、一般的には大砲はロケットに劣りません。
ですから、ロケットが兵器として価値を見出すのは、狙ったところに命中させる能力を持つまで待たなければならなかったのです。
つまり、誘導装置が必要だったのです。
誘導装置付きのロケット兵器は一般にはミサイルと呼ばれます。
要するにミサイルが開発されて、ロケットは兵器として再度注目されることになります(ナチスのV2ロケットです)。
そして、このミサイルが大型化され長射程になり、それに人類が乗って始めて宇宙空間に飛び出すことができるようになったのです。
前回、ロケットの歴史は「飛ぶ姿勢の安定させる歴史」と言いましたが、誘導される仕組みができて飛躍的に技術の進歩が早まっていきました。
相手を倒すために開発した技術が人類の平和利用に活かされるという、皮肉な脚本を歴史は書いてくれるものです。

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似たもの同士?

ロケットの歴史 2007年10月11日

ロケットは何時頃からあったのでしょうか?
13世紀元寇の時にロケット兵器に襲われたと言われているので、その頃には既にロケットは発明されていたと思われます。
ロケットは最初から兵器であったようです(平和利用は現在でもほんの僅かに過ぎません)。
当時の推進薬(燃料)は中国で発明された黒色火薬でしょうから、当然武器として考えられたと推測されます。
火薬を花火など嗜好品に使うとは考え難いですからね。
当時のロケット兵器の形は、左図の左から2つ目の「ロケット花火」の先端に矢じりを付けた形状でしょう。
ご存知のように、ロケット花火でも結構な勢いで高く飛び上がりますから、火薬量の多い兵器ではそれこそ人間が弓から放つ矢より遥か遠くから飛んで来て敵を恐怖に陥れたでしょう(元寇に台風が来なかったら、今の相撲協会はなかったかもしれません)。
ところで、火を噴く部分が前の方にあって、後ろに長い棒を引きずっているのを不思議に思ったことはありませんか?
これは、空に揚げる凧の尻尾と同じ役割を担っています。
つまり姿勢を安定させるために必要なのです。
凧に尻尾がなければ、凧がクルクル回ってしまって挙がらないように、ロケット兵器(花火)も長い部分がなければフラフラとして明後日の方向に飛んで行ってしまうのです。
飛んでいくもの(飛翔体と言います)の姿勢を安定させる方法として、弓矢の矢のようにお尻の部分に羽根をつけるやり方もあります。
同様に、ロケットにも尾翼と呼ばれる羽根をつけて姿勢を安定させるものも少なくありません(飛行機の尾翼も同じ役割)。
少し話しが脇に逸れたようにみえますが、実はロケットの歴史はこの姿勢の安定させる仕組みの歴史といっても過言ではないのです。
このロケットの姿勢の安定については、またの機会に書いてみたいと思います。

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作用/反作用の法則

ロケットの飛ぶ原理 2007年10月2日

配属されて最初に教わったことは、ロケットはどうやって飛ぶのか?です。
それは、「ロケットは、作用/反作用の法則で飛ぶ」でした。
要するに、力を作用(加える)させると、同じ大きさの力が反対方向に働くということです。
左図で説明しますと、牛が壁を一緒懸命押します(作用)。
そうすると、牛は進めず反対方向に同じ力で押し返されます(反作用)。
これが作用/反作用の法則です(ニュートンの運動の第3法則)。
皆さんが壁を押しても頑丈な壁はビクともせず、身体が押し返されてしまいますね。
それでは、壁の代わりに床を手で押してみましょう。
腕を曲げて力を貯めて押すと腕立て伏せができます。
更に勢いをつけて床を押すと、一瞬身体が浮き上がります(ロッキーを思い出した方は偉い!古い?)。
これが、ロケットが飛ぶのと同じ現象です。
つまり、途轍もなく大きな力で地面を押せば、ぐんぐん空高く飛んでいくわけです。
ロケットというと、お尻(下)から火を噴くというイメージが付きまといますが、どんな力でも作用させれば、反作用で飛ぶことができます。
火を噴かない「ペットボトルロケット」が飛ぶ理由がわかっていただけたと思います。
力強く何かを噴き出せば飛べるのです。
ちなみに、力強くとは、自重より大きな力を言います。
ともかく力を作用させれば良いのですから、地面に力を作用する必要はなく、力をある方向に出せば、その反対方向に反作用が働くのです。
つまり、地面があろうとなかろうと、空気があろうとなかろうと関係がありませんから、ロケットは殆ど何も無い宇宙空間でも飛べる(?移動)出来るのです。
大変なのは、その大きな力を出し続けられるかなのです。
ペットボトルロケットの場合は、自重よりずっと大きな力を一瞬に出して、高く飛び立ちます。
でも、すぐに墜ちてきます、軽いのに。
大きな力を出し続けられないからです。
前回このコーナーで紹介した自量140トンの「M−Vロケット」は、大きな力を宇宙に飛び出すまで出し続けられるよう様々な工夫をしています。
この工夫についてはまた何れお話したいと思います。
ところで、クルマも勿論作用/反作用で走っています。
クルマはタイアで道路を一所懸命押しているのですが、道路は即ち地球ですからクルマは押し返されて前へ(後ろへ)押し出されるわけですね。
私たちの歩いているのも、もちろん作用/反作用の法則です。
どうですか、世の中の見方が変わってきましたか?

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M-V5号機
画像をクリックすると拡大されます。
サイズが大きいのでお気をつけください。

ロケットって何? 2007年9月26日

「ロケット」というと、左の画像のような空を飛ぶ飛翔体を思い浮かべる方と、ご自分の胸の辺りを見て写真の入った装飾具(アクセサリー)を考える方がいらっしゃると思います。
前者は、”Rocket”で、後者は、”Locket”で、実はスペルが違います。
日本語では、両者ともロケットですけど。
このサイト(ページ)で気ままに書いていくのは、私居酒屋コーチがかつて働いていた空へ飛んでいく”Rocket”を作る部署で学んだり感じたことについてです。
空に飛んでいくといいましたが、ロケットは打ち上げると飛んでいってしまうものというイメージがありますが、実は飛行機のように元に戻ってくるものでもあります。
画像のようなロケットでは、殆どが地上に戻ってきて、ほんの僅かが宇宙に飛び立ちます。
ちなみに、画像のロケットで飛んでいったのは、一昨年小惑星「イトカワ(日本のロケットの父「糸川英夫」先生にちなんでいます)」に着陸(接触?)した人工衛星「はやぶさ」を積んでいました(上手く戻ってきて欲しいものです)。
「はやぶさ」は500キロ(0.5トン)ですから、M−Vロケットは全重量140トンに対し、僅か0.35%が宇宙に飛び立ち旅(大仕事)をして戻ってきます。
遠いとおい火星の向こうの小惑星帯まで行けるのはたったこれだけなのです。
ですから、ロケットの殆どは元の場所には戻って来るものなのです。
あのスペースシャトルは、本体(機体)を含め多くの部分が元の場所に戻って再利用されます。
そこがシャトル(機織り機の中で左右に往復し続けるシャトル<杼(ひ)>と部品)と呼ばれる所以です。
何れにせよ、戻っては来れるけれど、飛行機のように何度も行って戻ってくることはできません。
どうしても、ロケット花火やミサイルのように打った(撃った)らそのままというイメージがありますが、少しは感じ方が変わってきたでしょうか?

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